Letter 医学:妊娠時の栄養膜浸潤および子宮らせん動脈再構築にcorinが果たす役割 2012年4月12日 Nature 484, 7393 doi: 10.1038/nature10897 妊娠時に栄養膜の浸潤および子宮らせん動脈の再構築が起こることは、母親の血管抵抗を下げ、子宮胎盤血流を増加させるうえで重要である。らせん動脈の再構築障害は、妊娠時の主要な合併症である子癇前症と関連があることが長年指摘されてきたが、その根底にある機序は今も明らかではない。corin(心房性ナトリウム利尿ペプチド変換酵素としても知られる)は、血圧調節に重要な心臓ホルモンである心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)を活性化させる心臓プロテアーゼである。意外なことに、corinは妊娠時の子宮でも発現していることがわかっている。今回我々は、栄養膜の浸潤とらせん動脈の再構築促進にcorinおよびANPが及ぼす新たな機能を明らかにする。我々は、corinまたはANPを欠損する妊娠マウスは、子癇前症の特徴である高血圧およびタンパク尿を発症することを示す。このようなマウスでは、栄養膜浸潤および子宮らせん動脈再構築が著しく障害されていた。これと一致して、ANPはヒトの栄養膜のマトリゲル浸潤を強く誘発した。子癇前症患者では、子宮におけるCorinのメッセンジャーRNAおよびタンパク質の発現量は、正常な妊婦と比較して有意に低下していた。さらに我々はすでに、子癇前症患者でCorin遺伝子突然変異を発見し、これによってANP前駆体のプロセシング時にcorin活性が低下することを明らかにしている。以上の結果は、corinおよびANPが母体–胎児間の接合部における生理学的変化に必須であることを示しており、corinおよびANPの機能異常が子癇前症の一因であることを示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る