Article 生化学:病原性ナイセリアによる鉄の横取りの構造基盤 2012年3月1日 Nature 483, 7387 doi: 10.1038/nature10823 ナイセリア属Neisseriaはヒトの偏性病原菌で、細菌性髄膜炎、敗血症、淋病の原因となる。ナイセリアは生存に鉄を必要とし、ヒトのトランスフェリンから直接鉄を奪い取って、外膜を通過して輸送する。この輸送系は、外膜の内在性タンパク質であるTbpAと、細胞表面に結合している補助受容体TbpBで構成され、どちらのタンパク質もワクチン標的や治療標的として重要となる可能性がある。ヒトのトランスフェリンを特異的に選んで標的とする仕組み、またこの菌が中性pHでトランスフェリンから鉄を遊離させる仕組みという2つの重要な疑問の解明を目指して、ナイセリア研究は進展してきた。今回我々は、これらの疑問を解決するために、TbpA–トランスフェリン複合体と、それに付随する補助受容体TbpBの結晶構造を解いた。また、TbpB–トランスフェリン複合体をX線小角散乱法で、TbpA–TbpB–トランスフェリン複合体を電子顕微鏡で詳しく調べた。今回の知見は、ヒト・トランスフェリンに対するTbpAの特異性の基盤と考えられるものを示しており、TbpAがトランスフェリンからの鉄の遊離を促し、またTbpBがこの過程を手助けする仕組みを明らかにしている。 Full Text PDF 目次へ戻る