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進化:ヒトの脳のサイズのエネルギー論と進化

Nature 480, 7375 doi: 10.1038/nature10629

ヒトの脳は、哺乳類の中で並外れて大きいという点で際立っている。不経済組織仮説(expensive-tissue hypothesis)は、脳のサイズと消化管のサイズの間にトレードオフ関係があるとしてヒトの脳の進化を説明しており、ヒトの消化管のサイズは体のサイズがヒトと同程度の霊長類で予測されるよりも小さい。この仮説は広く受け入れられているが、これまでの実証的裏付けはあいまいであった。今回我々は、霊長類23種を含む100種の哺乳類の標本で脳のサイズおよび臓器の重量のデータを分析して、この仮説を検証した。脂肪を除く体重を対照とすると、脳のサイズは、消化管あるいはその他のどの不経済な臓器の重量との間にも負の相関が認められず、不経済組織仮説は否定された。しかし、哺乳類では、脳のサイズとエネルギーのトレードオフ関係の存在と一致して、脳のサイズと脂肪貯蔵量との間に負の相関が見いだされ、大脳化と脂肪貯蔵とが飢餓を緩和するための代償的な戦略であることが示唆された。ただし、この2つの戦略は、脂肪の貯蔵が運動効率をさほど阻害しない場合には併用されることもありうる。ヒトの大脳化は、エネルギー投入量の安定化と、運動、成長、および生殖からのエネルギーの振り替えとを組み合わせることによって可能になったと考えられる。

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