Letter

物性:強く相互作用するフェルミ気体で見られる普遍的なスピン輸送

Nature 472, 7342 doi: 10.1038/nature09989

半整数スピンを持つ粒子であるフェルミオンの輸送は、物理学の多くの分野において重要である。電子輸送は現代技術の基盤であり、超伝導体や絶縁体などの物質の状態を規定し、電子スピンは情報の新しい輸送体として研究されている。ニュートリノ輸送は、死を迎えつつある星の崩壊に続く超新星爆発にエネルギーを与え、クォーク・グルーオン・プラズマの流体力学的輸送は初期宇宙の膨張を支配した。しかし、このような強く相互作用するフェルミオン物質の非平衡動力学に関する我々の理解は依然として限られている。フェルミオン原子の極低温気体は、このような系に対する手つかずのモデルとなり、原子物理学における精度で実時間で調べられる。このような気体は、相互作用を散乱共鳴へと調整すると、超流動転移点以上でも粘度が非常に低いほとんど完全な流体として流れる。この流体力学的領域では、集団密度励起の減衰が弱い。本研究では、6Li原子のフェルミ気体におけるスピン励起を実験により調べ、対照的にこれらは最大限に減衰することを見いだした。スピン流は、空間的に分離する2個のスピン成分から発生させ、外部トラッピングポテンシャル中でのそれらの発展を観測した。相互作用はスピン流が反転するだけ十分強くすることができ、反対スピンの成分が互いに反射し合うことが実証された。平衡近くでは、共鳴時の温度の関数としてスピン抗力係数、スピン拡散率、およびスピン感受率が得られ、これらが高温で普遍法則に従うことが示された。縮退領域では、スピン拡散率は、/mで決まる値、すなわち拡散の量子限界に近づく。ここではプランク定数を2πで除したもの、mは原子質量である。斥力相互作用の場合、我々の測定結果は準安定強磁性状態を排除しているようである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度