Article

進化:中国熱河省の白亜紀層で出土した新たな正三錐歯目哺乳類に見られる過渡的な哺乳類型中耳

Nature 472, 7342 doi: 10.1038/nature09921

脊椎動物の進化生物学では、顎の歯骨後方の骨(post-dentary jaw elements)が耳小骨として哺乳類の頭蓋に移行したことは、重要な論題の1つとなっている。これらの骨の有顎脊椎動物内での相同性は、ずっと以前から発生学研究によって示されてきたが、この重要な移行を表す化石は数少なく、不明瞭なことも多い。本論文では、熱河生物相(中国、遼寧省)で発見された白亜紀初期の正三錐歯目哺乳類の最初の明瞭な外鼓骨(角骨)、槌骨(関節骨および前関節骨)、および砧骨(方形骨)について報告する。この化石では、外鼓骨および槌骨は歯骨との直接的な接触を失っているものの、骨化したメッケル軟骨(OMC)との接続は維持している。このことからOMCは、哺乳類の進化の過程で、歯骨とそこから離脱した耳小骨とを橋渡しして安定化させる構造として機能していたと考えられる。この過渡的な哺乳類型中耳は、原始的哺乳形類の下顎中耳と、現生哺乳類の完成した哺乳類型中耳との間の形態的な隔たりを狭めるものであり、哺乳類の進化の過程で耳小骨の分離に寄与した複雑な変化を明らかにしている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度