Letter 細胞:ハッチンソン・ギルフォード早老症候群に由来するiPSCで早老を再現する 2011年4月14日 Nature 472, 7342 doi: 10.1038/nature09879 ハッチンソン・ギルフォード早老症候群(HGPS)は、まれな致死的ヒト早老症で、若年での動脈硬化や血管の平滑筋細胞(SMC)の変性を特徴とする。HGPSの原因は、ラミンA(LMNA)遺伝子の1個の点突然変異によって、ラミンAの短縮型スプライス変異体であるプロジェリンが産生されることである。プロジェリンの蓄積によって、核ラミナの崩壊やヘテロクロマチンの喪失を含む、さまざまな老化関連核異常が引き起こされる。本論文では、HGPS患者から得た繊維芽細胞から誘導多能性幹細胞(iPSC)を作出したことを報告する。HGPS-iPSCにはプロジェリンが存在せず、さらに重要なことに、通常は早老に関係している核膜の変化やエピジェネティックな変化が見られない。HGPS-iPSCを分化させると、プロジェリンおよびその老化関連表現型による結果が復活する。とりわけ、HGPS-iPSCをSMCに分化させると、血管の老化に伴う早老表現型が出現する。さらに、我々の研究からDNAPKcs(DNA-dependent protein kinase catalytic subunit;別名PRKDC)がプロジェリンの下流の標的であることが明らかになった。核のDNAPKホロ酵素が存在しないことは、早老だけでなく生理的な老化とも相関する。プロジェリンは生理的な老化過程でも蓄積するので、我々の結果は、ヒトの早老や生理的な血管老化の発病機序研究のための、iPSCを基盤とするin vitroモデルを提供する。 Full Text PDF 目次へ戻る