Letter 生化学:mRNA核外輸送の際のInsP6とヌクレオポリンによるDEADボックスATPアーゼ活性化の保存された機構 2011年4月14日 Nature 472, 7342 doi: 10.1038/nature09862 スーパーファミリー1とスーパーファミリー2に属するRNAヘリカーゼは、普遍的なメッセンジャーRNAタンパク質複合体(mRNP)リモデリング酵素として、RNA代謝のあらゆる場面で重要な役割を果たしている。スーパーファミリー2に属するDEADボックスATPアーゼDbp5(ヒトDDX19)は、mRNAの核外輸送の際に機能し、核膜孔複合体(NPC)でmRNPのリモデリングを行っていると考えられている。Dbp5は、Nup159(脊椎動物ではNUP214)との相互作用によりNPCに局在しており、小型分子のイノシトールヘキサキスリン酸(InsP6)とGle1によってNPCで局所的に活性化される。NPCでのGle1によるDbp5局所的活性化は、in vivoのmRNA核外輸送に必須である。しかし、mRNP核外輸送機構におけるDbp5の役割はほとんど解明されておらず、Gle1InsP6とNup159がDbp5活性化を調節する仕組みもわかっていない。今回我々は酵母を用いて、Gle1InsP6、Nup159/Gle1InsP6およびRNAと複合体を形成したDbp5の構造を報告する。これらの構造から、InsP6がGle1–Dbp5相互作用のための小型分子つなぎ鎖として機能することが明らかになった。意外にも、Gle1InsP6–Dbp5複合体は、翻訳の開始に必須なまた別のDEADボックスATPアーゼ複合体であるeIF4G–eIF4Aと構造的に似ており、Gle1InsP6とeIF4Gは共にRNAの放出促進によって、それぞれの結合相手であるDEADボックスを活性化することがわかった。さらに、Gle1InsP6はDbp5の自己調節を解除し、Nup159と協働して、RNA結合を妨げる開いた構造のDbp5中間体を安定化する。これらの知見は、mRNAの核外輸送の際にGle1InsP6、Nup159とDbp5が協働する仕組みを説明し、Gle1/eIF4G様活性化因子によるDEADボックスATPアーゼ調節の一般的な機構を提供する。 Full Text PDF 目次へ戻る