Article 神経:シナプスを越える標識追跡法によって明らかになった嗅覚入力の皮質表現 2011年4月14日 Nature 472, 7342 doi: 10.1038/nature09714 マウスでは、それぞれの種類の嗅覚受容器ニューロンは、特定の1種類の匂い物質受容体を発現しており、そうした同一の受容体を発現するニューロンが、軸索を嗅球内の2個の特定の糸球体に収斂的に投射し、その結果匂いの空間マップができあがる。しかし、このマップが嗅覚皮質でどのように表現されているのかは明らかでない。今回、狂犬病ウイルスを使い、シナプスを越えて1つ手前のニューロンを標識する逆行性標識法と、皮質の「出発点」に当たるニューロンの場所と数と型を制御する遺伝学的方法とを組み合わせて、出発点のニューロンからそのシナプス前ニューロンを追跡した。その結果、各皮質ニューロンは、嗅球内に広く分布する糸球体の、複数の僧帽細胞から入力を受けていることがわかった。しかし、皮質領域が異なると、嗅球からの入力も異なる。例えば、扁桃体皮質は背側嗅球からの入力をより多く受けるが、梨状皮質には明らかな傾向はなく嗅球全体から入力を受けている。この差はおそらく、生得的な匂い好悪または連想記憶を仲介する際の皮質各領域の機能差を反映しているのだろう。本論文で説明されるシナプスを越えての標識法は、マウス神経系の広い範囲で神経結合地図の作製に適用できるだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る