Article 医学:腸内細菌叢によるホスファチジルコリン代謝は心血管疾患を促進する 2011年4月7日 Nature 472, 7341 doi: 10.1038/nature09922 メタボロミクス研究には、疾患過程にかかわる経路の発見が期待できる。心血管病疾患(CVD)は、世界中で死亡および病的状態の主要原因となっている。今回我々はメタボロミクスの手法を用いて、CVDリスクを予測する血漿中小型分子の偏りのない代謝プロファイルを作成した。食餌中に含まれる脂質であるホスファチジルコリンの3種類の代謝産物であるコリン、トリメチルアミンN-オキシド(TMAO)およびベタインが、CVDリスクを予測することが独立した大きな臨床コホートで示された。マウスの食餌中にコリン、TMAOあるいはベタインを追加すると、アテローム性動脈硬化と関係する複数のマクロファージスカベンジャー受容体の発現上昇が促進され、またコリンあるいはTMAOの追加はアテローム性動脈硬化を促進した。無菌マウスを用いた研究で、TMAO産生、マクロファージのコレステロール蓄積増強、泡沫細胞形成に、食物中のコリンと腸内細菌叢が果たす重要な役割が確認された。アテローム性動脈硬化を発症しやすいマウスで腸内細菌叢を抑制すると、食餌由来コリンにより増強されるアテローム性動脈硬化が阻害された。TMAOの酵素反応による供給源であるフラビンモノオキシゲナーゼの発現を制御する遺伝的変動は、高脂血症マウスでのアテローム性動脈硬化とは遺伝的に分離された。食餌由来ホスファチジルコリンの腸内細菌叢による代謝とCVD発生病理が関連することの発見は、アテローム動脈硬化性心疾患に対する新たな診断試験と治療法を開発する機会となる。 Full Text PDF 目次へ戻る