Article 神経:手綱核のニコチン性受容体α5サブユニットのシグナル伝達がニコチン摂取量を制御している 2011年3月31日 Nature 471, 7340 doi: 10.1038/nature09797 ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)のα5サブユニットをコードする遺伝子CHRNA5に遺伝的変異があると、タバコ依存症や肺がんになりやすくなるが、その原因となる機序はよくわかっていない。本論文では、Chrna5のヌル変異を持つマウスで、ニコチン摂取量が顕著に増すことを報告する。この効果は、ノックアウトマウスの内側手綱核(MHb)でα5サブユニットを再発現させることで「救済」され、また、ラットのMHbでα5サブユニットをノックダウンすると再現された。意外にも、MHbのα5サブユニットのノックダウンでは、ニコチンの報酬効果には変化がなかったが、高用量ニコチンが脳内報酬系に及ぼす抑制作用は消失した。MHbからの投射は、ほとんどすべて脚間核(IPN)に向かっている。α5ノックアウトマウスでは、ニコチンに応答したIPN活性化が低下していた。また、ラットでIPNシグナル伝達を破壊するとニコチン摂取量が増した。これらの知見から、ニコチンはα5を含むnAChRを介して手綱核–脚間核経路を活性化し、ニコチン摂取量を制限するように働く抑制的な動機付けシグナルを起動していることが示唆される。 Full Text PDF 目次へ戻る