アポトーシスとネクロトーシスは、一般的なシグナル伝達アダプター、キナーゼおよびプロテアーゼによって制御される相補的な経路で、中でもカスパーゼ8(Casp8)は、デス受容体に誘導されるアポトーシスできわめて重要な役割を果たす。このカスパーゼは、FADD(Fas-associated via death domain)依存性のシグナル伝達を調節する非アポトーシス性経路の他、自然免疫におけるシグナル伝達や、骨髄球またはリンパ球の分化パターンといった、あまり解明が進んでいない多様な生物学的過程でも関連が示されている。Casp8は、デス受容体活性化後に起こるRIP3–RIP1(RIPK3–RIPK1としても知られる)キナーゼ複合体依存性のネクロトーシスだけでなく、マウスサイトメガロウイルスに対する宿主防御機構であることが明らかになっているRIP3依存性かつRIP1非依存性の壊死経路も抑制する。マウスのCasp8の発現を抑制すると、受精後10.5日目から11.5日目で胚致死となる。したがって、Casp8はアポトーシスを促進することに加え、RIP3に依存する代替的細胞死経路を自然状態で抑制しているのかもしれない。我々は、RIP3がCasp8欠失胚の妊娠中期の致死の原因であることを見いだした。注目すべきことに、Casp8−/−Rip3−/−二重変異マウスは生存可能であり、骨髄球およびリンパ球の細胞型のすべてを備えた免疫系を持つ生殖可能な成体へと成熟する。これらのマウスは正常な免疫能を持つように見えるが、4月齢までに末梢に異常T細胞の蓄積が顕著に認められるリンパ節症が生じる。これはFas欠失(lpr/lpr、Fasとしても知られる)マウスに類似する表現型である。したがって、Casp8は成体免疫系の恒常性制御に寄与するが、RIP3とCasp8はいずれも哺乳類発生には全く不要である。