Letter

物理:ランダム媒質中のモードを通る輸送

Nature 471, 7338 doi: 10.1038/nature09824

複雑な媒質中の励起は、量子系では「準位」、古典波では「モード」と呼ばれる固有状態の重合せになる。複雑な系のハミルトニアンはわからないか、解けないことが多いが、エネルギー準位間隔の統計は大きなランダム行列の固有値の統計と同じになるとウィグナーは予想した。これによって中性子散乱スペクトルの重要な特性が説明された。続いてサウレスたちは、無秩序系の金属–絶縁体転移が、単一のパラメーター、すなわち電子エネルギー準位の平均幅と間隔との比で記述できることを示した。この無次元比が1以下になると、伝導率は電子波動関数のアンダーソン局在によって抑制される。しかし、モードの重なりが原因となってスペクトルが密集するため、局在した波動であっても波動伝搬の包括的なモードによる記述は実現していない。本論文では、透過した放射(今回の場合、ランダムに充填したアルミナ球を透過したマイクロ波場)のスペックルパターンを、この媒質の各モードのパターンの和へ分解でき、各モードの中心周波数と線幅を見いだしうることを示す。モード場のスペックルパターン間に強い相関が見いだされ、この相関からモード間に破壊的な干渉が生じる。これによって、局在した波動の定常状態透過とパルス透過の複雑性を説明でき、拡散に関する波動と粒子による記述を一致させることができる。

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