Letter 細胞:染色体の長さは複製によって生じるトポロジカルストレスに影響する 2011年3月17日 Nature 471, 7338 doi: 10.1038/nature09791 染色体複製の際、進行する複製フォークの前方の領域では、親DNA分子が過剰に巻かれた状態、すなわち正の超らせん状態になる。複製フォークが進めるようにするためには、この正の超らせんの張力を、トポイソメラーゼの働きによってDNAに一時的に切れ目を入れて取り除く必要がある。正の超らせんを取り除くには、複製フォークが進みながらDNAらせんの周りを回転するという方法もあるが、その場合には複製フォークの後方で姉妹染色分体が絡み合ってしまうという問題が生じる。このような考察がなされているものの、複製によって生じる超らせんストレスを、線状の真核生物染色体がどのような仕組みで解消しているのかはほとんど解明されていない。今回我々は、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)の染色体が長くなるとともに、このような超らせんストレスが増加することを明らかにした。このことから、このような超らせんの張力が、現在考えられているようにトポロジー的に閉じている染色体領域ごとに内部で解消されるだけでなく、1本の染色体全体の規模で対処されている可能性が考えられる。トポイソメラーゼIを阻害すると、長い染色体では後期の複製の遅れが見られるが、短い染色体では見られないことがわかった。これと同じ表現型は、コヒーシン、コンデンシン関連タンパク質複合体Smc5/6の変異体を発現する細胞にも見られる。Smc5/6複合体の染色体結合部位の密度は、染色体が長くなるにつれて、また染色体の環化やトポイソメラーゼIIの不活性化に応じて、上昇した。これらはすべて、姉妹染色分体の絡み合いの数を増やす可能性がある。また、通常の機能をもたないSmc6でも、トポイソメラーゼII機能をもたない細胞で1回複製を行った後の絡み合った姉妹染色分体の蓄積数が減少した。これらの結果は、染色体の長さが出芽酵母の超らせん張力解消の必要性に影響することを実証しており、Smc5/6複合体が複製装置の後方で生じる新生染色分体の絡み合いを隔離することによって、複製フォークの回転を容易にするというモデルが導かれる。 Full Text PDF 目次へ戻る