Letter 物理:量子情報の伝送向けのトラップイオンアンテナ 2011年3月10日 Nature 471, 7337 doi: 10.1038/nature09800 100年以上前に、ヘルツは電磁発振器を使って数メートル離れた受信アンテナへシグナルを伝送することに成功し、これによってマクスウェルが提唱した電磁気学理論が立証された。この重大な研究以来、技術は発展し、現在では多様な発振器が量子力学レベルで利用可能になった。量子化された電磁気振動は、共振器中の原子を使って電場と結合できる。しかし、カンチレバーやトラップした原子やイオンの振動モードなどの2個の機械振動子間の量子力学的結合はほとんど実証されておらず、間接的に実現されているだけである。そのような例には、量子情報を運ぶ原子の力学的な輸送や自然放出光子を使用するものがある。本研究では、54 µm離れて別々にトラップされたイオンの運動する双極子間の直接の結合を、量子力学的な伝送線路として双極子–双極子相互作用を用いることにより実現した。この相互作用は単一のトラップイオン間では小さいが、付加的なトラップイオンをアンテナとして使うとその結合が増幅できる。各井戸中に3個のイオンがあると、相互作用は単一イオンの場合に比べて7倍に増大する。この増大によって、より遠い距離をつなぐことが容易になり、トラップ電極を小型化しなければならない制約が緩和される。この系から、量子コンピューターの構成要素、またさまざまな種類の量子系を結合する機会が得られる。 Full Text PDF 目次へ戻る