Letter 細胞:DNAリガーゼIIIの重要な役割はミトコンドリアにおけるもので、Xrcc1依存性修復ではない 2011年3月10日 Nature 471, 7337 doi: 10.1038/nature09794 哺乳類細胞には3種類のATP依存性DNAリガーゼがあり、それらはDNAの複製や修復に必要とされる。リガーゼI(Lig1)とリガーゼIV(Lig4)の相同体は真核生物に広く存在するが、核型とミトコンドリア型を持つリガーゼIII(Lig3)は脊椎動物に限られているらしい。Lig3はその結合相手のタンパク質Xrcc1と共に、さまざまなDNA修復経路に関与していると考えられている。Lig3欠失は、マウスの初期胚致死に加えて見かけ上の細胞致死性を引き起こすので、Lig3機能の詳細な解明が妨げられてきた。本研究では、先行補完法(pre-emptive complementation)という遺伝学的手法を用いて、Lig3の哺乳類細胞での生存への必要性と、DNA修復における必要性を明らかにする。Creリコンビナーゼにより欠失させることのできるLig3条件的対立遺伝子を持つマウス胚性幹(mES)細胞に、さまざまな型のLig3を安定的に導入した。この手法により、ミトコンドリアのLig3は細胞の生存能力に必要だが、核のものは必要でないことがわかった。Lig3の触媒機能は必要だが、Lig3のジンクフィンガー(ZnF)とBRCT(BRCA1 carboxy (C)-terminal-related)ドメインは必要ではなかった。Lig1をミトコンドリアへ誘導したり、真核生物で最小のDNAニック接着酵素であるクロレラ(Chlorella)ウイルスDNAリガーゼ、あるいはNAD+依存性リガーゼである大腸菌(Escherichia coli)LigAを発現させたりすることにより、Lig3の生存への必要性が回避されたことは注目すべきである。Xrcc1欠失細胞の感受性を増加させる複数のDNA損傷物質に対して、Lig3欠失細胞は感受性を示さない。今回の結果は、Lig3と相互作用するタンパク質Xrcc1とは無関係の、Lig3のミトコンドリアにおける役割を明らかにしている。 Full Text PDF 目次へ戻る