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医学:誘導多能性幹細胞を用いたQT延長症候群のモデリング

Nature 471, 7337 doi: 10.1038/nature09747

患者特異的ヒト誘導多能性幹細胞(iPSC)が作り出せるようになったことで、ヒト疾患モデル作成と個別化された薬物試験に対する新たな理論的枠組みが生まれている。先天性QT延長症候群(LQTS)は、イオンチャネル機能の異常と心臓突然死を特徴とする家族性不整脈症候群である。今回我々は、KCNH2遺伝子のA614Vミスセンス変異による2型LQTS患者から患者/疾患特異的ヒトiPSC株を作出したことを報告する。作出されたiPSCは心筋細胞系統への分化を誘導された。詳細な全細胞パッチクランプ記録および細胞外多電極記録により、健常コントロール細胞と比較してLQTSヒトiPSC由来心筋細胞ではLQTSの特徴的表現型である活動電位持続時間の顕著な延長が見られた。電位固定実験により、この活動電位持続時間延長が心臓カリウム電流IKrの大幅な減弱によることが確認された。LQTS由来細胞は、早期後脱分極と激発活動による不整脈を特徴とする顕著な催不整脈性も示したことは重要である。我々は次いで、LQTSヒトiPSC由来心筋組織モデルを用いて、疾患の表現型を増強する(カリウムチャネル遮断薬)、あるいは軽減する(カルシウムチャネル遮断薬、KATPチャネルオープナーおよび遅延型ナトリウムチャネル遮断薬)可能性のある既存薬および新たな薬物の効力を評価した。今回の結果は、ヒトiPSC技術が遺伝性心疾患の異常機能の表現型をモデル化し、新たな治療薬の候補を同定する能力を有することを示している。したがって、ヒトiPSC技術は、病態発現機構を研究し、患者管理を最適化し(個別化医療)、また新たな治療法開発の助けとなる、有望な理論的枠組みと考えられる。

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