Letter 医学:再発性の急性リンパ芽球性白血病におけるCREBBPの変異 2011年3月10日 Nature 471, 7337 doi: 10.1038/nature09727 再発性の急性リンパ芽球性白血病(ALL)は若年層の病死の主な原因の1つだが、治療の失敗を決定する生物学的因子についてはあまり明らかにされていない。最近行われたALLにおけるDNAの構造変化についての全ゲノムプロファイリングで、主要な細胞経路を標的とする多数の極微小な体細胞変異が見つかり、診断時から再発時までの遺伝学的変化にかなりの進化が見られることが示されている。しかし、ALLでのDNA塩基配列変異は詳細に解析されているわけではない。再発性のALLで新規の変異を明らかにするために、ALL患者23人の診断時と再発時のマッチした試料において、300遺伝子の塩基配列再解読を行った。これによって、32の遺伝子に52個の体細胞性非同義変異が同定された。この多くが新しく変異の見つかった遺伝子で、転写コアクチベーターであるCREBBPおよび NCOR1、転写因子であるERG、SPI1、TCF4およびTCF7L2、Rasシグナル伝達経路の構成要素、ヒストン遺伝子、ヒストン修飾に関与する遺伝子(CREBBPとCTCF)、およびALLで頻発するDNAコピー数変化の標的となることが以前に示されている遺伝子が含まれている。診断後再発が見られた症例71例と再発が見られなかった急性白血病症例270例からなる拡大コホートの解析から、再発症例の18.3%にCREBBPの塩基配列変異あるいは欠失変異が見られることがわかった。CREBBPは転写コアクチベーターで、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ活性を有するCREBBP(CREB-binding protein、別名CBP)をコードしている。この変異は、診断時に存在することもあれば、再発時に獲得されていることもあったが、結果として、短縮型対立遺伝子になる場合と、ヒストンアセチルトランスフェラーゼドメインの保存された残基に有害な置換を引き起こす場合があった。この変異は、ヒストンのアセチル化機能と、糖質コルチコイド応答性遺伝子などのCREBBP標的の転写調節機能の障害を引き起こした。再発時に獲得されたいくつかの変異は、診断時にサブクローンで検出されていたことから、この変異が治療抵抗性を与える可能性が示唆される。これらの結果から、白血病における遺伝学的変化の全体像が拡大し、また、転写調節やエピジェネティックな調節を標的とする変異がALLの抵抗性機構であることを明らかにしている。 Full Text PDF 目次へ戻る