Letter

物理:スピン–軌道結合したボーズ・アインシュタイン凝縮体

Nature 471, 7336 doi: 10.1038/nature09887

スピン–軌道(SO)結合は量子粒子のスピンとその運動量の相互作用であり、物理系にならどこにでも存在する。凝縮物質系では、SO結合はスピンホール効果やトポロジカル絶縁体に不可欠である。また、この結合はGaAsなどの物質の電子的性質に寄与し、スピントロニクスデバイスに重要である。極低温原子の量子多体系は実験的に精密に制御でき、そのためSO結合を調べる理想的な基盤が得られると考えられる。原子の固有のSO結合はその電子構造に影響を与えるが、これから原子のスピンと重心運動の結合は生じない。本論文では、一対のレーザーを用いて2個の原子スピン状態という衣をまとわせることで中性原子ボーズ・アインシュタイン凝縮体のSO結合(Rashba強度とDresselhaus強度が等しい)を操作した。このような結合は極低温原子気体では、また実際にはどのようなボソン系でもこれまで実現されたことがなかった。さらに、レーザー結合が存在すると、衣をまとった2つの原子スピン状態間の相互作用が変調されて、空間的なスピン混合状態(レーザーオフ)から相分離状態(臨界レーザー強度以上)への量子相転移が生じる。我々は、観測された転移の位置と定量的に一致する多体理論を開発している。操作したSO結合は、ボソンとフェルミオンに等しく適用できるため、フェルミオン中性原子系にトポロジカル絶縁体を実現する条件が整った。

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