Letter 進化:系統ゲノミクス解析により明らかになった環形動物の進化 2011年3月3日 Nature 471, 7336 doi: 10.1038/nature09864 環形動物門は、記載種15,000種以上を擁する多様性の高い動物門で、潮間帯から深海までの優占的な底生マクロ動物相を構成している。環形動物のロバストな系統発生史が確立できれば、動物のボディープランの進化の解明が進み、左右相称動物の基本パターンが明らかになると考えられる。従来、環形動物門は、有帯類(ミミズ類およびヒル類)と多毛類(ゴカイ類)の2群に大きく分けられてきた。しかし、近年得られた証拠は、かつて異なる門と考えられていた別の分類群(星口動物門、ユムシ動物門、およびヒトツヒゲムシ科(別名:有鬚動物門))も環形動物門に含めるべきであることを示唆している。しかし、環形動物門の深いレベルでの進化的な類縁関係はまだほとんど解明されておらず、環形動物のロバストな進化史再構築が求められている。今回我々は、環形動物34分類群について、アミノ酸の位置47,953か所を使って行った系統ゲノミクス解析により、現在十分な裏付けがある系統発生が再現され、さらに主要な2群への分割の強い裏付けが得られたことを示す。今回の結果では、ツバサゴカイ類、スイクチムシ類、およびホシムシ類が、環形動物系統樹の基部に位置付けられた。ただし、スイクチムシ目は、分枝が長いために位置が未確定のままである。そのほかの分類群は、遊在類(モデル環形動物のツルヒゲゴカイを含む)および定在類(有帯類を含む)の2つの分岐群に分けられた。祖先的特徴形質の再構成の結果、この2つの分岐群には、遊泳性の生活様式と定着性の生活様式のいずれかへの適応が認められ、それに伴って、蠕動運動、疣足、および知覚などの付随的な形態的形質が変化していることが示された。また、環形動物門の生活史の特徴は系統発生の情報源となるだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る