Letter 物理:量子メトロポリスサンプリング 2011年3月3日 Nature 471, 7336 doi: 10.1038/nature09770 量子コンピューターの構築は元来、ファインマンの考えに端を発している。ファインマンは、古典コンピューターでは手に負えないと考えられている一般的な量子力学系をシミュレートできるような機械を考えた。このような機械は凝縮系、化学、高エネルギー系などの多体量子物理のシミュレーションへ広範囲に応用できるであろう。ファインマンの考えたこの難問の一部は、ロイドによって解決された。彼は相互作用する量子力学的粒子の時間発展演算子を、量子コンピューター上の演算に適した短い基本ゲート列へどのようにして近似的に分解するか明らかにした。しかし、量子系の平衡特性と静特性をどのようにしてシミュレートするかという問題は未解決のまま残された。これには量子コンピューター上で基底状態とギブス状態を準備することが必要になる。古典系では、この問題は広く使われているメトロポリスアルゴリズムにより解かれ、相互作用粒子のシミュレーションはほとんどこの方法の独壇場となっている。本研究では、このメトロポリスアルゴリズムの量子版の実装方法を示す。このアルゴリズムはハミルトニアンの固有状態から直接サンプリングを行うことが可能であり、そのため古典シミュレーションに存在する符号の問題を回避できる。このアルゴリズムの小規模な実装は現在の技術で実現可能であろう。 Full Text PDF 目次へ戻る