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発生:張力が誘導する機械的シグナル伝達経路は上皮形態形成を促進する

Nature 471, 7336 doi: 10.1038/nature09765

機械的シグナル伝達とは、物理的な力の化学シグナルへの変換である。それには一般に、伸張感受性チャネル、あるいは細胞骨格結合タンパク質のコンホメーション変化がかかわっている。いくつかの臓器の生理機能や細胞移動には、機械的シグナル伝達が不可欠である。だが、機械的シグナル入力が発生にどの程度寄与しているのか、またそれがどのような仕組みで行われるのかは、十分に解明されていない。今回我々は、線虫(Caenorhabditis elegans)の体壁筋と上皮の間で機械的シグナル伝達経路が働いていることを明らかにする。この経路にかかわっているのは、Rac GTPアーゼに加えて、ヘミデスモソーム中に見られるp21活性化キナーゼ(PAK-1)、アダプターGIT-1およびその結合相手となるPIX-1という3種類のシグナル伝達タンパク質である。この経路の出力の1つは、中間径フィラメントのリン酸化である。隣接する筋から及ぼされる張力や外部からの機械的圧力がヘミデスモソーム中にGIT-1を保持し、PIX-1とRacを介してPAK-1活性を刺激する。この経路は、ヘミデスモソームが機械的ストレスに対抗できる接着装置へと成熟するのを促進し、上皮と筋組織の形態形成の協調にかかわっている。これらの知見から、線虫のヘミデスモソームは単なる付着構造ではなく、張力に応答してシグナル伝達を開始させる機械センサーでもあることが示唆される。線虫以外でも、上皮細胞が張力を発生する収縮性細胞に接着している生物では、同様な経路が上皮の形態形成や創傷治癒を促進している可能性が考えられる。

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