Letter 免疫:RAG2のC末端はゲノム不安定性とリンパ腫発生を抑制する 2011年3月3日 Nature 471, 7336 doi: 10.1038/nature09755 免疫グロブリン(Ig)やT細胞受容体(Tcr)遺伝子座におけるDNA二本鎖切断のV(D)Jリコンビナーゼ(RAG1/RAG2タンパク質)による修復の失敗は、ヒトおよびマウスでリンパ腫の病因になると考えられてきた。ATM(ataxia telangiectasia mutated)などのDNA損傷応答因子の欠損、古典的非相同末端結合とp53の複合型欠陥は、RAG誘発性ゲノム再編成とリンパ腫発生を起こしやすくする。我々は以前に、RAG1/RAG2が切断されたDNA末端を古典的な非相同末端結合に向かわせて適正な修復が行われることを示したが、RAGタンパク質のゲノム安定性における役割についてははっきりしていなかった。本論文ではRAG2のカルボキシ(C)末端は、組み換えには必須ではないが、ゲノム安定性の維持には必須であることを示す。Rag2の「コア」部分のホモ接合体(Rag2c/cマウス)の胸腺細胞は、Tcrα/δ遺伝子座の完全性が著しく破壊されていた。さらに、Rag2c/c p53−/−マウスは、Rag1c/c p53−/−やp53−/−マウスと異なり、Tcrα/δやIgh遺伝子座にかかわる複雑な染色体転座、増幅および欠損が見られる胸腺リンパ腫を急速に発症した。Atm−/−マウスのリンパ腫でも同様の特徴が見られた。我々は、ATM欠損と同様に、RAG2のコア部分はRAGの切断後複合体を強く不安定化することを示す。これらの結果は、RAG2の新規のゲノム安定性維持機能を明らかにし、同様の末端除去/末端保全(end release/end persistence)機構がゲノム安定性やRag2c/c p53−/−およびAtm−/−マウスでのリンパ腫発生の基礎になっていることを示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る