Article 細胞:細菌のCRISPR/Cas免疫系はバクテリオファージおよびプラスミドのDNAを切断する 2010年11月4日 Nature 468, 7320 doi: 10.1038/nature09523 細菌と古細菌は、ウイルスゲノムやプラスミドなどの外来の核酸に対する防御策をいくつか発達させてきている。その中で、CRISPR(clustered regularly interspaced short palindromic repeats)遺伝子座は、cas(CRISPR-associated)遺伝子と共にCRISPR/Cas免疫系を構成している。この系には、部分的にパリンドローム様の構造をもつ配列の反復が含まれていて、それが外来の染色体因子由来のスペーサーとよばれる短いDNA配列によって隔てられている。この変動可能な遺伝子座は感染したバクテリオファージからスペーサーを取り込むことがあり、取り込みが起こるとその後のバクテリオファージ感染に対する塩基配列特異的な免疫が獲得されることが、最近明らかにされた。今回我々は、テルモフィルス菌(Streptococcus thermophilus)のCRISPR1/Cas系が、抗生物質耐性遺伝子を含む自己複製型プラスミドからもスペーサーを自然に獲得でき、その結果プラスミドが失われることを明らかにする。抗生物質耐性遺伝子と一致する獲得スペーサーは、このような耐性遺伝子を取り込んで広めることのできない細菌を自然界に存在する方法によって選択する新しい手法になる。また、CRISPR1/Cas系が、プラスミドやバクテリオファージの二本鎖DNAを、そこに含まれているプロトスペーサー内の特定部位で特異的に切断することを示すin vivoでの証拠も得られた。これらのデータは、CRISPR/Cas免疫系が侵入DNAを迅速に切断するのに極めてよく適応しており、この系がより安全な微生物株の作製に使える可能性があることを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る