Letter

進化:空間的に不均一な環境では性の進化速度が上昇する

Nature 468, 7320 doi: 10.1038/nature09449

有性生殖の進化と維持の問題は、数十年にわたって生物学者の頭を悩ませてきた。この分野には仮説が多く提唱されてきているが、実験的証拠は少ない。いくつかの重要な実験によって、有性個体群と無性個体群の間で進化の速度に差があることが示されているが、組み換えや自殖などの遺伝的混合に関係する現象での進化的変化を明らかにした実験もある。しかし、個体群内での性の進化に関する直接的な実験は極めて少ない(ただし、引用文献12を参照)。今回我々は、有性、無性の両方式で生殖を行うことができるツボワムシ(Brachionus calyciflorus)を用いて、空間的に不均一な環境では性が進化する可能性が高まると予測する近年の理論を検証した。ワムシの実験用複製個体群は、高品質と低品質いずれかの食物環境からなる均一環境、またはこれら2つの環境の混成による不均一環境で培養された。均一環境のどちらかで培養された個体群では、性の進化速度は急速に零に近づいた。対照的に、空間的に不均一な環境に置かれた個体群では性の進化速度が上昇した。このデータから、不均一な環境でみられる性の存在率の上昇は、性のコストが軽くなるためでも、性の効率の低さに対する選択が生じたためでもないことが示された。不均一な環境では、性はそれが本来的にもつコストを圧倒するほど有利なのである。性の進化に関するほかのいくつかの理論とは逆に、遺伝的浮動が性の進化で何らかの役割を果たしていることの証拠は今回の個体群では得られなかった。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度