Article 医学:一卵性双生児とその母親の便中の微生物叢にみられるウイルス 2010年7月15日 Nature 466, 7304 doi: 10.1038/nature09199 腸などのヒト体内に存在するウイルスの多様性と生活環については、ほとんど解明されていない。ファージとそれがコードする機能からは、ヒトの微生物叢やさまざまな擾乱に対する微生物群の反応を知る手がかりが得られる可能性があり、また病気や治療的介入から見かけ上回復した後に微生物群が健全に働いているのか、それとも機能不全なのかがわかるかもしれない。今回我々は、健康な成人女性である一卵性双生児とその母親から、1年間にわたって3回便試料を採取し、その試料から単離されたウイルス様粒子のメタゲノム(virome)の塩基配列を解読した。これらのデータセットを、塩基配列が解読されている細菌16SリボソームRNA遺伝子、および便試料の全微生物群のDNAデータセットと比較した。双生児とその母親は、血縁関係のない個体に比べ、便内細菌群の類似性が著しく高い。しかし、これとは対照的に、viromeは遺伝的関係性の程度には関係なく、個体特有である。viromeやそれにコードされている機能は個体間で大きな差異があるにもかかわらず、個体についてみると多様性は非常に低く、調べた期間中のウイルスタイプの維持率は95%を超え、viromeのほとんどは数種類の溶原性ファージが占めていて、これらは遺伝的安定性が極めて高かった。これらの結果は、詳しく調べられている環境中生態系のいくつかでみられるウイルス–微生物の捕食動態が、最遠位の腸管では全くみられないことを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る