Letter

気候:放牧による、大陸ステップからの天然の亜酸化窒素放出の減少

Nature 464, 7290 doi: 10.1038/nature08931

温室効果ガスである亜酸化窒素 (N2O)の大気中の濃度は、全球窒素循環の人為起源の変化のために、産業革命以前の時代から著しく増加してきており、動物生産はその主な要因の1つである。草原は地球の温帯の陸地表面の約20%を覆い、牧草地として広く使われている。高い放牧強度とその結果増加した窒素投入量は、N2Oの放出を増加させると考えられてきた。N2O 放出に対する家畜数の増加の影響を広域的に評価する国際的に認められた方法は、1頭当たりの窒素のインプットに直接基づいている。しかし、草原のN2O フラックスの測定は、短期間に行われることが多く、時間分解能は低く、ほとんどが成育期に行われている。その結果、草原の N2O フラックスの日々の動態や季節的な動態はまだあまり解明されていない。本論文では、中国の内モンゴルのステップ草原にある10か所の観測サイトで、高い時間分解能と低い時間分解能でN2Oフラックスを通年測定した結果を報告する。我々は、春の雪解け時における N2O 放出の短期的なパルスが、我々の研究サイトにおけるN2Oの年間収支の大部分を占めていることを示す。N2O放出のパルスは放牧されていないステップで最も高く、放牧強度の増加とともに減少しており、放牧がN2O 放出を増加させるのではなくむしろ減少させることを示唆している。我々の結果は、より高い放牧強度の、窒素循環、ひいてはN2O放出に対する促進作用が、微生物バイオマス、無機窒素生成、冬季の水貯留に同時に起こる減少作用によって十二分に相殺されていることを示している。これらの氷結–融解の相互作用を無視することによって、既存の方法は、半乾燥で涼しい温帯の草原の20世紀間のN2O 放出量を、最大で72%系統的に過剰評価していた可能性がある。

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