Letter 顕微鏡法:環状暗視野電子顕微鏡法による原子1個ごとの構造的・化学的分析 2010年3月25日 Nature 464, 7288 doi: 10.1038/nature08879 未知の三次元構造をもつ材料中の全原子を直接画像化し化学的性質を同定することは、非常に強力な一般的分析方法となるだろう。ファインマンをはじめとする多くの研究者が当初から認識していたように、透過型電子顕微鏡法は、この役割を果たすことが原理的に可能である。透過型電子顕微鏡法では、個々の原子により強く散乱され、波長が原子の約50分の1である電子によって、物質を画像化する。近年、この手法は、収差補正光学技術の導入により著しく進歩した。しかし、電子顕微鏡法ばかりでなく、ほかのどのような実験手法も、複数の原子種からなる非周期的材料中の全原子を解像・同定することはまだできていない。今回我々は、低電圧動作向けに最適化された収差補正走査型透過電子顕微鏡による環状暗視野画像化によって、置換型欠陥を含む六方晶窒化ホウ素の単層における各原子の化学的種類を解像・同定できることを示す。ホウ素の代わりに炭素、窒素の代わりに炭素、窒素の代わりに酸素という3種類の原子置換が発見・同定された。置換は窒化ホウ素単層に大きさ約0.1 Åの面内歪みをもたらすが、それは密度汎関数理論計算によって直接解析・検証された。これらの結果は、極めて薄いシートの中および表面に存在する放射線損傷に耐性のあるすべての原子について、原子ごとの構造的・化学的解析が可能になったことを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る