Letter 生理:ゼブラフィッシュ心臓再生へのgata4+心筋細胞による主要な寄与 2010年3月25日 Nature 464, 7288 doi: 10.1038/nature08804 最近の研究により、ヒトを含む哺乳類は、出生後も生涯を通じて心筋細胞の何らかの再生能を維持していることが明らかにされている。しかし、急性心筋梗塞のような損傷の後には、心筋に機能的に意義のあるような再生はほとんど、あるいは全く認められない。これに対してゼブラフィッシュは、失った心筋を効率的に再生することから、生来もつ心臓再生能がどのように遮断または増強されるかを解明する際のモデルとなる。成体のゼブラフィッシュに適用可能な細胞系譜追跡技術がないため、これまでは新規に再生された心筋細胞の起源は不明であった。今回我々は、新しい遺伝的運命予定図を用いた方法により、心室心尖部の切除後に活性化され、心筋再生に大きく寄与する心筋細胞集団について明らかにする。我々は、レポーター遺伝子導入株の使用により、外傷後1週間以内に、心室の心外膜下層全体の心筋細胞が胚の心臓発生遺伝子gata4の発現を誘発し、その後、発現は傷害部位とその周囲で増殖中の心筋細胞に局在化することを見いだした。明らかな再生の前にgata4を発現している細胞、または損傷前に収縮に関与する遺伝子cmlc2を発現している細胞に対して、Cre-リコンビナーゼを用いた細胞系譜追跡を行ったところ、続いて生じる再生で、どちらの場合も大半の心筋が標識された。心室全体の心筋表面における光学的電位マッピングによって、損傷後2週から4週にかけて、既存心筋細胞と再生心筋細胞間に電気伝導が再建されることがわかった。損傷後に繊維芽細胞増殖因子受容体を長期間阻害して心臓再生を抑制し、瘢痕形成を可能にした後に、実験的にシグナル伝達遮断を解除すると、瘢痕組織を喪失することなしに、gata4の発現および損傷心室壁の形態的改善が認められた。今回の結果は、電気的に共役する心筋が切除損傷後に、主に心筋細胞集団の活性化と増殖を介して再生することを示す。これらの知見は、損傷したヒト心臓の再生を促すのに、大きなかかわりをもつ。 Full Text PDF 目次へ戻る