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物性:磁性絶縁体におけるスピン波相互変換による電気信号の伝達

Nature 464, 7286 doi: 10.1038/nature08876

絶縁体ではエネルギーバンドギャップがたいへん大きく、電子励起や電気伝導は妨げられている。しかし、電子は電荷に加えてスピンももっており、一部の絶縁体では、スピンの集団運動が伝搬可能で、信号を伝達できる。この運動はスピン波とよばれており、通常、磁場を使って励起される。今回我々は、スピンホール効果を使って、絶縁体中でのスピン波の生成と検出が可能であることを示す。これにより、スピンホール効果を用いて電気信号をスピン波に直接変換した後、絶縁体中を巨視的距離にわたって伝達できる。我々はまず、絶縁性磁性体Y3Fe5O12と白金膜との間で相互にスピン角運動量移行が可能であることを示した。この移行は、スピンホール効果を通して、白金膜の電流をY3Fe5O12のスピン波に直接変換する。次に、Pt/Y3Fe5O12/Pt系におけるそのような移行を利用して、一方の金属膜における電流が、もう一方の遠く離れた金属膜に電圧を誘起することを実証した。つまり、印加電流は、最初の白金膜でのスピンホール効果によってスピン角運動量に変換される。次いで、その角運動量は、Y3Fe5O12絶縁層でスピン波によって運ばれる。もう一方の離れた白金膜では、スピン波のスピン角運動量が、電圧に変換される。この効果は、磁場を用いてオンオフ切り替え可能である。Y3Fe5O12におけるスピン減衰の弱さは、スピン角運動量伝達の透過性によるものである。ここで示した電気的伝達法によって、電気回路やデバイスにおける革新的な信号配送の手段が得られる可能性がある。

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