Article

遺伝:ヒトの主要な病原体であるピロリ菌の一次トランスクリプトーム

Nature 464, 7286 doi: 10.1038/nature08756

ピロリ菌(Helicobacter pylori)のゲノム塩基配列解読により、感染が広がっているこのヒト病原体がもつと思われるタンパク質や遺伝的多様性が明らかになったが、その転写物の構成と非コードRNAの転写についてはほとんどわかっていない。大量並行cDNA配列決定法(RNA-seq)は包括的な転写産物解析に大きな変化をもたらしてきた。本論文では、一次転写物の5′末端に選択性を示す新規な手法のdifferential RNA-seq(dRNA-seq)を用いて、ピロリ菌の転写開始部位およびオペロンのゲノム全体にわたる地図を示す。オペロン内に数百の転写開始部位が存在することがわかったが、これは注釈付けされた遺伝子とは全く異なっており、ピロリ菌の小型のゲノムでの遺伝子発現の複雑性が、ポリシストロンに翻訳カプリングがみられないことおよびゲノム全体でのアンチセンス転写によって、増大していることを示している。また、約60という予想外に多くの低分子RNAが見つかり、この中には、調節性6S RNAおよび関連のRNA産物のイプシロン亜綱版といえるものや、シスコード化およびトランスコード化標的メッセンジャーRNAの調節因子らしきものが含まれている。我々の手法は、多くの生物種の一次トランスクリプトームのマッピングと注釈付けのための枠組みを確立するものといえる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度