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進化:ミトコンドリアtRNAの補償的進化は低適応度の谷を乗り越えて進む

Nature 464, 7286 doi: 10.1038/nature08691

進化生物学では、進化する系統が、適応度の低い遺伝子型に対応する適応度地形の谷を越えて孤立した適応度の頂点に達することができるのかについて、長い間議論が続いている。今回我々は、哺乳類83種を対象として、ミトコンドリア転移RNA(tRNA)のステム領域の相補的な部位での、異なるAUおよびGCのワトソン・クリック型ヌクレオチド対間の切り替えによって越えられる適応度地形を検討した。そのようなワトソン・クリック型切り替えの速度が、中立的な置換の対と比較して30〜40分の1であり、GUおよびACの非ワトソン・クリック型中間状態に対応する対立遺伝子が、非同義対立遺伝子の場合と同様に、ヒト集団内では低頻度で分離することがわかった。ワトソン・クリック型切り替えにつながる置換は、特にミトコンドリアゲノムのGTヌクレオチドの多い鎖にコードされたミトコンドリアtRNAで、強く相関していた。このデータから我々は、典型的なワトソン・クリック型切り替えでは深さ10−3、場合によっては10−2程度の適応度の谷を越えることになり、GU中間状態と比較してAC中間状態のほうがわずかに有害性が高いと推定した。この補償的進化は、固定されることのない希少な中間的変異体を経て進むと考えられる。哺乳類ミトコンドリアtRNAをはじめとする分子にみられる補償的進化の普遍的な性質から、単独では有害な2つの対立遺伝子が同時に固定されることは、分子レベルでは一般的な現象なのではないかと考えられる。

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