Letter

材料:アルカリ金属をドープしたピセンにおける超伝導

Nature 464, 7285 doi: 10.1038/nature08859

新しい超伝導材料を同定し開発する努力は、基礎科学と応用可能性の両方に刺激されて、加速的に続けられている。例えば、最近では、カルシウム・インターカレート・グラファイト化合物、ホウ素ドープダイヤモンド、そして最も有名なLaO1−xFxFeAsなどの鉄ヒ化物を含めて、いくつかの新しい超伝導物質系が開発された。しかし、有機超伝導体については、高い超伝導転移温度(Tc)を示す新しい物質系は、ここ10年間で発見されていない。今回我々は、固体ワイドバンドギャップ半導体炭化水素であるピセンにアルカリ金属をインターカレートすることによって、金属的挙動と超伝導が生じることを報告する。固体のカリウム・インターカレート・ピセン(Kxピセン)は、金属含有量に応じて7 Kと18 KのTc値を示す。固体Kxピセンの転移温度における磁化低下は急激であり(<2 K)、Caインターカレート・グラファイトの挙動と類似している。18 KというTcは、KインターカレートC60に匹敵する。今回のKxピセンにおける超伝導の発見は、有機炭化水素がTc値向上へ向けての有望な候補であることを示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度