Letter 代謝:外洋性窒素固定シアノバクテリアの代謝の簡素化 2010年3月4日 Nature 464, 7285 doi: 10.1038/nature08786 窒素(N2)固定を行う海洋性シアノバクテリアは、海洋の一次生産力および大気からの二酸化炭素の除去を支える固定化無機窒素の重要な供給源である。全地球的に分布し、周期的に数が増加するN2固定海洋性シアノバクテリアUCYN-Aは、光合成装置の酸素を発生する光化学系II複合体をもたないことが最近明らかにされ、これまで知られていない代謝を行っていることが示されたが、いまだに培養されていない。今回我々は、大量並行ペアエンド読み取りパイロシーケンシング法を使ったUCYN-Aの完全ゲノムの組み立てから推測された代謝再構築に基づき、UCYN-Aが光発酵代謝を行い、重要な物質をほかの生物に依存していることを明らかにする。UCYN-Aは、TCA回路など複数の主要な代謝経路をもたないが、光からエネルギーおよび還元力を得るのに十分な電子輸送能力を維持している。意外にも、UCYN-Aのゲノムは縮約されており(1.44メガ塩基)、リボソームRNAオペロンの逆方向反復配列をもつ点で、多くの葉緑体および一部の細菌と構造が似ている。この生物は複数のアミノ酸およびプリンの生合成経路をもたないため、密接な結びつきまたは共生により、重要な栄養素をほかの生物に依存していることが示唆される。しかし、自然個体群を用いたサイズ分画実験からは、今まで、ほかの微生物との共生関係の証拠は得られていない。シアノバクテリアUCYN-Aは、進化および海洋環境への適応に矛盾する生物であり、貧栄養性海洋に生息する微生物群集に属する微生物相互間の緊密な代謝共役の一例である。 Full Text PDF 目次へ戻る