Letter 発生:インテグリン結合キナーゼはマウス発生に必須の機能をもつアダプターである 2009年10月15日 Nature 461, 7266 doi: 10.1038/nature08468 多細胞生物の発生では、細胞と細胞外環境との間にインテグリンを介した相互作用が必要とされる。細胞外マトリックスに結合したインテグリンは、多タンパク質複合体の構築を触媒し、これらの複合体はさまざまな細胞生理現象を調節する機械的、化学的シグナルを伝達する。インテグリン結合キナーゼ(Ilk)は多機能タンパク質であり、β-インテグリンの細胞質側ドメインに結合し、α-やβ-parvinのようなアクチン結合調節タンパク質の誘導により、アクチン動態を調節する。Ilkはまた、セリントレオニンキナーゼ活性を有し、哺乳類の細胞でAkt1やグリコーゲンシンターゼキナーゼ3β(Gsk3β)などのシグナル伝達タンパク質をリン酸化することが報告されている。しかしながら、これらの作用はハエや線虫ではみられないことが、遺伝学的研究により示されている。本研究では、推定キナーゼドメイン内の自己リン酸化されると考えられている部位や、プレクストリン相同ドメインに点突然変異をもつマウスは正常であることを示す。一方で、キナーゼドメインのATP結合部位とされる、保存されたリシン残基(Ilkのα-parvinへの結合にかかわる)に点突然変異をもつマウスは、腎臓の形成不全により致死となる。同様の腎臓異常は、α-parvinヌルマウスでもみられる。したがって、今回の結果は、Ilkのキナーゼ活性は哺乳類の発生には必須ではないが、Ilkとα-parvinの相互作用は腎臓の発生に必須であることの遺伝学的証拠であると考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る