Letter 細胞:ホルモンが引き起こす転写抑制解除におけるDNA脱メチル化 2009年10月15日 Nature 461, 7266 doi: 10.1038/nature08456 ヒストンレベルでのエピジェネティックな修飾は、細胞外からのシグナルに応じて遺伝子調節に影響を及ぼすが、遺伝子活性化の際に調節されるDNAレベルでのエピジェネティックな修飾、特に積極的なDNA脱メチル化については、詳しい解明がなされていない。今回我々は、DNAメチル化/脱メチル化がホルモンによって切り替わり、シトクロムp450 27B1遺伝子(CYP27B1)の転写を制御していることを明らかにする。負のビタミンD応答配列(nVDRE)によるビタミンDを介したCYP27B1遺伝子の転写抑制に呼応して、この遺伝子のプロモーター中では、ビタミンDによってCpG部位のメチル化(5mCpG)が引き起こされる。逆に、CYP27B1遺伝子を活性化することが知られている副甲状腺ホルモンを投与すると、このプロモーター中の5mCpG部位の積極的な脱メチル化が起こる。nVDER結合タンパク質(VDIR、TCF3ともよばれる)に結合する複合体を生化学的に精製したところ、CpG部位をメチル化する2種類のDNAメチルトランスフェラーゼDNMT1、DNMT3Bが同定されるとともに、DNAグリコシラーゼMBD4が見つかった。MBD4が結合したプロモーターでは、副甲状腺ホルモン刺激時に、プロテインキナーゼCによってリン酸化されたMBD4がグリコシラーゼ活性によってメチル化DNAを切り取り、塩基除去修復機構がDNA脱メチル化を完了するらしい。Mbd4−/−マウスでは、副甲状腺ホルモンが引き起こすこのようなDNA脱メチル化とその後の転写抑制解除が起こらない。これらの知見は、DNAレベルでのメチル化切り替えが、ホルモンによる転写制御にかかわっていることを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る