Letter 物理:二量子ドットY接合で実現したクーパー対スプリッター 2009年10月15日 Nature 461, 7266 doi: 10.1038/nature08432 非局所性は量子力学の基本的な性質であり、それは量子系の空間的に離れた部分の間の相関として表れる。このような現象を探索する基本的な方法は、量子もつれを起こした物体のアインシュタイン–ポドルスキー–ローゼン(EPR)対を生成させて、いわゆるベル不等式を検証することである。このような非局所性の実験的検証は、対となった量子もつれ光子について行われ成功をおさめているが、電子における類似の系、つまりスピン1/2の可動電子が自然な量子物体になる固体中での実現は、これまで不可能だった。これが難しいのは、電子は巨視的な基底状態、つまりフェルミ海に浸っており、そのため、必要に応じて電子のもつれた対を直接生成、分裂させることができないためである。しかし、超伝導体はその基底状態がスピン一重項状態のクーパー対からできているため、電子EPR対の生成源となりうる。このようなクーパー対は超伝導体からトンネリングによって抽出できるが、もつれた電子を効率よく生成するEPR源を得るには、クーパー対を別々の電子へ分裂させなければならない。これは、クーロン相互作用によって電子を互いに「反発」させることで実行できる。したがって、制御されたクーパー対分裂は、各々制御可能な量子ドットによって超伝導体を2つの常伝導金属ドレイン接触へと結合することで実現できる。本論文では、このような制御可能なクーパー対スプリッターを初めて実験的に実現したことを示す。このスプリッターは予想外に高い効率を示している。今回の知見によって、EPRパラドックスとベル不等式の固体での初めての検証に向けた道が開かれた。 Full Text PDF 目次へ戻る