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細胞:胚性幹細胞はZFP809を使ってレトロウイルスDNAを抑制する

Nature 458, 7242 doi: 10.1038/nature07844

マウスの胚性幹細胞(ESC)やほかの未分化の幹細胞がレトロウイルスの複製を強力に阻害することは、30年以上前から知られている。ESCにマウス白血病ウイルス(MLV)が感染すると、プロウイルスDNAの組み込みは正常に起こるが、このDNAの転写が抑制され、それ以上ウイルスが広がらない。この抑制に主にかかわるのは、プライマー結合部位とよばれる18塩基長の保存された配列を認識するトランス作用性因子である。このプライマー結合部位は細胞の転移RNAの3′末端と相補的で、ウイルスのゲノムRNAのプライマー結合部位に特異的tRNAが結合し、DNA合成のプライマーとして使われる。組み込まれたプロウイルスDNAに存在するこの配列が、ESCによるウイルス抑制の標的となる。我々は最近、プライマー結合部位に結合するESCの大型タンパク質複合体に、特徴がよく知られている転写コリプレッサーTRIM28が含まれることを明らかにした。残る重要な疑問は、組み込まれたレトロウイルスDNAを直接認識し、TRIM28を誘導して特異的な転写抑制を行わせる因子が何かである。今回我々は、組み込まれたプロウイルスDNAとTRIM28をつなぐ認識分子として、ジンクフィンガータンパク質ZFP809を同定する。ZFP809を発現させるだけで、分化した細胞であっても、MLV感染に対して強い耐性をもつようになることを示す。また、ZFP809が、MLVと同じプライマーtRNAを使うヒトT細胞白血病ウイルス1(HTLV-1)から生じたDNAの転写を強く阻害することも明らかにする。これらの結果は、ZFP809が、哺乳類の多数のレトロウイルス、レトロエレメントを特異的に認識し、その転写抑制を誘導するDNA結合因子であることを示している。ZFP809は、幹細胞特異的なレトロウイルス制限因子として進化した、幹細胞固有の免疫系の新しい成分であると考えられる。

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