Letter がん:がん幹細胞における活性酸素種レベルと放射線耐性の関連性 2009年4月9日 Nature 458, 7239 doi: 10.1038/nature07733 酸素代謝は生命にとって重要だが、腫瘍や心血管疾患、加齢など、さまざまな現象にかかわると考えられている活性酸素種(ROS)を産生する。中枢神経系幹細胞、造血幹細胞と初期前駆細胞は、それらの成熟した子孫細胞に比べROSの濃度が低く、この違いは幹細胞機能の維持に非常に重要であることが、最近になって明らかになっている。我々は、上皮組織細胞の幹細胞とそれらに相当するがん幹細胞(CSC)も、この性質を共有しているのではないかと考えた。本研究では、正常な乳腺上皮幹細胞は、成熟したその子孫細胞よりもROS濃度が低いことを示す。複数のヒトおよびマウスの乳がんで、CSCの一部は対応する非腫瘍原性細胞(NTC)に比べ、ROS濃度が低いことは注目すべきである。これらの腫瘍ではCSCがDNA損傷を起こしにくく、NTCに比べて放射線照射後に選択的に生き残ることは、ROSが電離性放射線による細胞殺傷の仲介因子として重要であることと一致する。CSCでROS濃度がより低いことは、フリーラジカル除去系の発現上昇と関連している。CSCでROSスカベンジャーを薬剤処理により減少させると、コロニー形成能が顕著に減少し、放射線に対する感受性が上昇する。これらの結果は、複数の腫瘍のCSCの一部は、正常組織の幹細胞と同様に、それらの非腫瘍原性子孫細胞と比べてROS濃度が低く、ROSに対する防御力が高いことを示しており、このことはがんの放射線耐性に関与しているかもしれない。 Full Text PDF 目次へ戻る