Letter 脳:鳴禽でみられる発声練習中の聴覚フィードバックの神経処理 2009年1月8日 Nature 457, 7226 doi: 10.1038/nature07467 鳴禽類は、音声による学習とコミュニケーションが可能で、複雑な知覚および運動処理の神経機構の研究に理想的である。騒がしい鳥コロニー内での音声コミュニケーションや、特定のさえずり鋳型の音声学習には、自身の発声を外部音と識別したり、学習中の自身のさえずりと手本となるチューター個体から得た鋳型との違いを検出したりするために、聴覚フィードバックのモニタリング能力が必要である。しかし、盛んな研究にもかかわらず、さえずりを制御する皮質領域では、発声出力からの聴覚フィードバックに応答するニューロンはまだ見つかっていない。今回我々は、さえずり学習の後期発達段階にある若齢のキンカチョウで、従来のさえずり系の外にある前脳聴覚野の単一ニューロンでのフィードバック処理について調べた。その結果、実際のさえずり中とその鳥のさえずりの録音再生中とで発火応答が似ており、さえずり応答のほうが概して数ミリ秒早く起こることを見いだした。しかし、聴覚フィードバックに短い時限型の音響的な乱れを加えたところ、受動的な再生音応答からは予測できない複雑な感受性が明らかになった。再生音の乱れに応答する一部のニューロンは、さえずりの乱れには応答せず、これは知覚運動ミラーニューロンの性質を想起させる。対照的に、一部のニューロンはフィードバックに高い感受性があり、さえずりの乱れには強く応答したが、乱れのないさえずりや乱れのある再生音には応答しなかった。これらの知見は、前脳聴覚野の計算機能によって、実際のフィードバックと、その鳥自身のさえずりの内部モデル、もしくはチューター個体のさえずりの内部モデルに由来するミラー型フィードバックとの間の誤差が検出されている可能性を示唆している。このようなフィードバック感受性スパイクが手がかり信号となって、さえずりの乱れに対する適応的な運動応答が引き起こされたり、音声学習のための予備的な運動試行が強化されたりしていると考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る