Letter

物性:非弾性中性子散乱により観測されたBa0.6K0.4Fe2As2における非従来型超伝導

Nature 456, 7224 doi: 10.1038/nature07625

ヒ化鉄層を含んでいる新種の超伝導体は、転移温度(Tc)が高く50 Kを超えるものもあり、高Tc銅酸化物超伝導体と類似しているため、かなりの関心を集めてきた。鉄ヒ化物と銅酸化物のいずれも、化学ドーピングによって反強磁性秩序をもつ相が抑制されたときに、超伝導が起こる。銅酸化物超伝導体全般にみられる特徴は、超伝導相でエネルギーと波数ベクトルの両者に局在した磁気励起の共鳴が存在することである。この共鳴は、数種の重フェルミオン超伝導体にもみられ、フェルミ面上の異なる部分で超伝導エネルギーギャップが逆符合の値をとるときに起こると予測されている。これは、電子対形成相互作用が短距離で反発的であることを示唆する異常なギャップ対称性である。角度分解光電子分光法では、鉄ヒ化物におけるギャップ異方性の証拠は見つからないが、この種の測定法はフェルミ面の別個の部分におけるギャップの相に敏感ではない。今回我々は、Ba0.6K0.4Fe2As2のTcより低温での磁気共鳴を非弾性中性子散乱により観測し、相に敏感なこの方法によって、鉄ヒ化物超伝導体では超伝導エネルギーギャップが非従来型の対称性をもつことを実証した。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度