Letter

進化:始生代の高温に対する並行的な適応

Nature 456, 7224 doi: 10.1038/nature07393

細胞からなる生物が出現および多様化した時代の生物の化石はわずかしかなく、その解明が困難であるため、全生物の最終共通祖先(LUCA;the last universal common ancestor)および生物界の3ドメインの祖先生物の生態を研究するには、化石に代わる手段が科学的に非常な価値をもつ。祖先生物に温度が及ぼした影響が「遺伝子の足跡」として残り、それが現生生物のゲノムから見つかる可能性があることが、近年認識されるようになった。それに応じるように、復元されたタンパク質の分析からは、細菌の祖先が好熱性であり、細菌は後にもっと低い温度に適応したものだという推測がなされている。古細菌の祖先も好熱性であったと考えられるため、LUCAも好熱性だっただろうと必要最小限の仮定から推論された。しかし、リボソームRNAの分析は、LUCAは超好熱性ではなかったとする仮説を支持している。今回我々は、rRNAの塩基配列とタンパク質のアミノ酸配列を先進的で現実的な分子進化モデルを使って分析し、生命系統樹の進化史において環境温度に関連した段階が2つ存在したことを、それぞれ独立に裏付ける結果が得られたことを示す。第一の段階では、中温性のLUCAから細菌の好熱性祖先および古細菌-真核生物の好熱性祖先への過程で熱耐性が向上し、第二の段階では熱耐性が低下した。したがって、LUCAに始まり細菌の祖先および古細菌-真核生物の祖先に至る2つの系統は、収斂的に高温に適応した。これには、太古の地球の気候変動への適応と、LUCAのRNAゲノムから熱安定性のもっと高いDNAゲノムをもつ生物への移行による促進の、両方またはいずれか一方が関与した可能性が高い。この分析結果は、生命系統樹全体にわたる1つの生態的形質の進化に関して、一見相反する複数の研究結果を1つの首尾一貫した描像に統合するものである。

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