Letter 生化学:リシン特異的リボスイッチによるアミノ酸結合と遺伝子発現制御の構造的考察 2008年10月30日 Nature 455, 7217 doi: 10.1038/nature07326 細菌では、いくつかのアミノ酸の細胞内濃度がリボスイッチにより制御されている。重要な制御回路の1つにリシン特異的なリボスイッチがあり、リシンや他のアミノ酸に共通の前駆体およびリシンの生合成と輸送がこれにより制御されている。本論文では、リボスイッチによるアミノ酸認識の分子基盤を理解するために、好熱真正細菌Thermotoga maritimaリシンリボスイッチの174-ヌクレオチドからなる感知ドメインの、リシンを結合した状態(分解能1.9Å)と結合していない状態(同3.1Å)の結晶構造を示す。リボスイッチは、3つのへリックスのバンドルと2つのへリックスのバンドルが、5つのへリックスからなるコンパクトな連結部により結合し、多様な長距離三次相互作用によって安定化された、独特の複雑な構造を備えている。リシンはリボスイッチの連結部の中央部分と相互作用しており、細長い結合ポケット中の形状の相補性と、電荷をもった末端に対する直接的およびK+イオンを介したいくつかの水素結合により特異的に認識される。構造的な研究と生化学研究により、リボスイッチ骨格が前もって形成されることが示され、安定なリシン結合状態の形成に付随した構造変化が明らかになった。この構造変化により、リボスイッチが別の折りたたみ方をされることが防がれ、下流の調節要素の形成が促進される。また、リシンリボスイッチのリガンド結合能を理解し、抗生物質耐性の機構を解明するために、抗生物質を含むさまざまなリシン類似体が結合したリボスイッチの構造を複数決定した。我々の結果は、リシンリボスイッチに依存した分子レベルの遺伝子制御機構への手がかりを与え、これはリボスイッチの薬理的、生命工学的な可能性の探求への絶えざる取り組みに資するものである。 Full Text PDF 目次へ戻る