Letter 環境:個体数減少中の両生類種の吸虫感染は農業用化学物質によって増大する 2008年10月30日 Nature 455, 7217 doi: 10.1038/nature07281 両生類の世界的な減少は疾患が原因だとしばしば考えられてきたが、疾患感染を促進すると考えられる因子類の相対的重要性および作用機序が知られていないため、有効な対策を打ち出すのは困難となっている。今回我々は野外調査を行い、個体数減少中のヒョウガエル(Rana pipiens)の体内に存在する吸虫(寄生性扁形動物)の幼生数を予測する上で、広く使用されている除草剤アトラジンが(考えられる240種類以上の候補の中で)最もよい指標となることを明らかにした。アトラジンの影響は、吸虫のすべての分類群を通じて一貫していた。アトラジンとリン酸塩との組み合わせ(どちらもトウモロコシおよびソルガムの生産で世界的に使用されている主要な農業用化学物質)によって、両生類を弱らせることの多いこの吸虫の幼生数変動の74%が説明された(アトラジン単独では51%)。野外調査データの解析結果から、この2つの物質が吸虫の中間宿主である巻貝を増加させ、また両生類の免疫を抑制することにより、吸虫幼生への暴露および感染しやすさを増大させるような原因機構の存在が裏付けられた。メソコスム実験により、アトラジンを加えた槽では、対照槽と比較してオタマジャクシが免疫抑制状態にあり、付着する藻類や巻貝が大幅に増加し、オタマジャクシの吸虫数が多いことが確認され、アトラジンと両生類の吸虫感染増大との因果関係がさらに裏付けられた。今回の結果は、両生類減少へのアトラジンとリン酸塩の関与を懸念するものであり、疾患リスクを高めることが疑われるいくつかの因子について、疾患発生を促進する機構を突き止めると同時に、そうした因子の相対的重要性を定量化することの意義を示している。 Full Text PDF 目次へ戻る