超大質量星は、高輝度早期変光星(LBV)として激しい前駆天体爆発を起こしてその質量のほとんどを放出し、その後に超新星として終焉に到達する可能性が高いが、LBV爆発の原因はよくわかっていない。りゅうこつ座η星(η Car)の19世紀の爆発は、こうした現象の典型で、太陽の約12倍の質量が650 km s−1の速度で、およそ1050 ergの運動エネルギーと共に放出された。速度が1,000〜2,000 km s−1に達する、さらに高速な物質もこれまでに報告されているが、その全体の分布はよくわかっていない。本論文では、3,500〜6,000 km s−1に達する速度をもつ、はるかに高速な物質を観測し、この物質がこれまでの報告における最も高速の物質を超えて、この星から遠く離れた場所まで及んでいることを報告する。この高速の物質は、19世紀の爆発の際の運動エネルギーのおよそ2倍のエネルギーをもっており、この物質から放出された爆発波が現在、大質量の放出物中を前方に伝播していると考えられる。結果的に、η Carの外殻は現在、低エネルギーの超新星残骸に似た形を呈している。爆発は通常、星の光度によって駆動される激しい星風の観点で議論されている。しかし、今回報告された高速の物質は、超新星に匹敵する深在性の爆発によりエネルギーの供給を受けている可能性を示しており、この爆発はおそらく脈動的な対不安定性によって引き起こされたと考えられる。このことは、他の銀河にみられる類似の事象の解釈を変える可能性がある。