Letter 物性:光格子におけるフェルミ原子のモット絶縁体 2008年9月11日 Nature 455, 7210 doi: 10.1038/nature07244 固体材料中の電子間にみられる強い相互作用は、意外な特性を生むことがある。最も重要な例はモット絶縁体で、満たされたブロッホバンドではなく相互作用の結果として伝導率が抑制される。フェルミ粒子系のモット絶縁相近辺は、凝縮系物理学における多くの興味深い現象の起源となっており、その最も著名なものが高温超伝導である。モット絶縁体の基本物理学的性質を網羅するハバードモデルは、光格子に捕捉された量子気体にも適用される。したがって現在では、原子物理学において開発された手法を用いてこの領域を調べることができる。しかしこれまで、原子のモット絶縁体は、フェルミ粒子の豊かで特異な性質を示さないボース気体でしか実現されたことがなかった。今回我々は、光格子中で斥力相互作用する二成分フェルミ気体のモット絶縁体の形成について報告する。モット絶縁体の形成は、二重占有格子部位の極めて強い抑制、原子数増加に対する圧縮率の二重占有の応答から推測される大幅な低減、励起スペクトルにおけるギャップモードの出現という3つの特徴によって確認された。相互作用の強さを直接制御することによって、トンネル結合や閉じ込めを変化させずに、モット絶縁領域と非相互作用領域の比較が可能になる。我々の結果は、スピン秩序化や最終的にはd波超流動の問題を含めて、モット絶縁体の今後の研究への道を開くものである。 Full Text PDF 目次へ戻る