Letter

生態:北大西洋の最小クラスの植物プランクトンが行う大量の細菌食

Nature 455, 7210 doi: 10.1038/nature07236

サイズが5 µmに満たないプランクトン性藻類は、海洋の無機炭素の主要な固定者である。これらは、プランクトン大増殖後の成層した温帯海洋域において、植物プランクトンのバイオマスの大半を占めている。大型および小型の藻類は、増殖を無機栄養に大きく依存しており、小型藻類は体積に対する表面積の比が大型藻類よりも大きいので、環境中の無機栄養濃度が低くても大型藻類よりも多くの栄養を獲得できると従来考えられてきた。それにもかかわらず、貧栄養海域においてリン酸塩をトレーサーとした最近の実験では、小型藻類が、おそらく細菌プランクトンの摂食を通じて、無機リン酸塩を間接的に得ていることが示唆されている。混合栄養的に摂食する藻類の顕微鏡を用いた研究は、混合栄養の生態学的重要性の数理モデル研究と共に、実験室および野外において数多く行われてきた。しかしながら、方法論的な制約のために、絶対従属栄養の細菌食と混合栄養の細菌食の直接比較は、これまでに行われていない。本論文では、小型藻類が夏季に北大西洋温帯海域の真光層で細菌食の40〜95%を行っていることを示す直接証拠を提示する。北東大西洋熱帯海域の表層水で37〜70%という類似の値が確認され、これらは混合栄養の全球的な重要性を示唆している。この知見によって、最小クラスの藻類であっても、これまで考えられてきたほどには溶存無機栄養に依存しておらず、それら藻類のバイオマスの4分の1は細菌食によることが明らかになった。このことは、炭素を固定する原生生物の栄養獲得および栄養制限の理解や、海洋における細菌プランクトンの制御に重要な意味をもってくる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度