Letter 地球:ヴェスヴィオ火山のマグマ溜まりの過去2万年にわたる上方移動 2008年9月11日 Nature 455, 7210 doi: 10.1038/nature07232 ヴェスヴィオ火山が再び活動を開始すれば、近くに住む70万人の人々を危険にさらす可能性があるので、将来の噴火の予測は火山学における重要な課題である。次の噴火に伴う災害を評価する上で重要なのは、マグマ溜まりの深さを見積もることで、この深さはマグマの性質と噴火様式を支配するパラメーターの1つである。鉱物学的研究によれば、過去の活動ではマグマ溜まりの深さは3〜16 kmであった。地球物理学的探査では、いくつかの深さで地震波の減衰があり、その最も浅いものは深さ8〜9 kmに位置していて、これらはマグマが溜まりやすい深さであると一応解釈されている。本論文では、ヴェスヴィオ火山の4回の主要な噴火から得られた物質の相平衡実験を用いて、噴火活動へのマグマ供給源がAD 79(ポンペイ)とAD 472(ポレナ)の噴火の間で深さ7〜8 kmの位置から3〜4 kmへと移動したことを示す。1万8,500年前のPomici di Base噴火と1944年のヴェスヴィオ噴火のデータを含めると、マグマ溜まりの総上昇量は9〜11 kmとなる。上部地殻内部でマグマの溜まりやすい位置の深さが変化することは、上昇するマグマ内の揮発性物質含有量や浮力の違いに加えて、カルデラの形成や火山の拡大に引き続く局所的な応力変化が原因と考えられる。マグマ溜まりの移動とそれがマグマ供給速度へ及ぼすと思われる影響は、ヴェスヴィオ火山の予想される噴火シナリオの定義に用いるパラメーターに組み入れられるべきであろう。 Full Text PDF 目次へ戻る