Letter 脳:決定に対する信頼の神経基盤、計算および行動への影響 2008年9月11日 Nature 455, 7210 doi: 10.1038/nature07200 ヒトをはじめ、動物はしばしば、不完全な証拠に基づいて決定を下さなくてはならない。統計学では主張への信頼度を表すのにP値のような指標を用いるが、決定についての信頼の見積もりを脳がどのように計算しているのかは、ほとんどわかっていない。今回、ラットの行動分析と神経記録を計算理論モデルと結びつけて、この問題を調べた。ラットを訓練して匂いのカテゴリー分け課題を行わせた。この課題では、カテゴリーの境界から刺激までの距離を変化させることで決定の信頼度を調節できる。選択行為自体に伴ってどのように信頼の程度が計算されるかを知るため、意思決定の標準モデルを用い、特定の決断に寄与する証拠の質を数値化する簡単な指標を定義した。眼窩前頭皮質の多くの単一ニューロンの発火率が、信頼モデルの予測値とよく一致し、他の代替機構、例えば学習刺激-報酬連合などでは説明が難しかった。また、この課題で報酬を与えるのを遅らせてみると、理論的モデルから予測されるように、信頼度が高いほどラットはより自発的に待つようになった。これらの結果は、従来「メタ認知」や自覚的意識が必要とされてきた信頼の見積もり能力が、げっ歯類脳にもあり、比較的簡単なやり方で計算可能で、これが適応行動を駆動することを示している。信頼の見積もりは、意思決定の基本的かつ広汎な要因であると思われる。 Full Text PDF 目次へ戻る