Letter 気候:最も強い熱帯低気圧の強度増加 2008年9月4日 Nature 455, 7209 doi: 10.1038/nature07234 大西洋の熱帯低気圧は平均すると強くなっており、30年間の変化傾向は大西洋や他の海域における海洋温度の上昇と関連付けられてきた。しかし、熱帯の他の海域における熱帯低気圧の変化傾向については全くはっきりしていない。それは、観測記録の信頼性が低く不完全であり、過去の変化傾向の解析は平均強度の変化にのみ注目してきたためである。本論文では、衛星観測記録から得られた均質なデータをもとに、熱帯低気圧ごとの最大風速(熱帯低気圧がその存続期間中に示した最大風速)を見積もり、その上位分位の変化傾向を調べることで、これら2つの制約を克服した。70パーセンタイルを超える分位の風速には大きな上昇傾向があり、最も強い熱帯低気圧群の風速には0.3±0.09 ms−1yr−1(標準誤差)という増加傾向がみられた。99パーセンタイルの非常に強い熱帯低気圧群がその存続期間に示したと推定される最大風速の上昇傾向は海域ごとに異なっており、この分位の熱帯低気圧の最も顕著な増大傾向は北大西洋でみられ、統計的に有意な増加がすべての海域で生じているわけではないことが見いだされた。我々の結果は、海が温暖になるほど、海で熱帯低気圧の風に変換されるエネルギーが多くなるという仮説と定性的に一致している。 Full Text PDF 目次へ戻る