Letter

進化:複数の捕食者群が存在する場合の多モード警告信号

Nature 455, 7209 doi: 10.1038/nature07087

警告現象は対捕食者防衛の1つであり、被食者の発する信号と餌に適さない被食者とを結びつける捕食者の能力に依存している。多モード信号の効力は、捕食者の知覚システムに応じて変化するはずである。しかしながら、こうした信号の進化に対して複数の捕食者群が及ぼす影響については、現在までのところ調べられていない。今回我々は、群集レベルの分子系統樹を用いて系統発生学的に独立した対比解析を行い、ヒトリガ類の警告信号が、鳥とコウモリというそれぞれ知覚能力の異なる捕食者の季節および日周活動パターンに応じて変化することを示す。ヒトリガの多くは、派手な色彩と超音波のクリック音の両方、あるいはいずれかを用いて化学的防御の存在を知らせる。鳥類が活発に活動するがコウモリはそれほどではない春には、ヒトリガ類は超音波クリック音を出さないことがわかった。春から夏にかけて日中に最も活動的になるヒトリガ類は、視覚的に派手であった。この期間の後期に現れるヒトリガ種は超音波クリック音を出していた。これらはほとんど夜行性であり、視覚的には隠蔽色である。今回の結果は、現在は1つの捕食者群に対して有効な多モード警告ディスプレーが進化する上で、複数の捕食者群からの選択圧が別個の役割を果たしてきたことを示唆している。我々はまた、音響的な警告信号の進化には、派手な色彩の進化に付きものの理論的難点はないだろうと考える。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度